パラブーツ(Paraboot)

老若男女に選ばれ続けるフランス靴、パラブーツとは。

パラブーツは、数ある高級シューズメーカーの中でも、本格靴好きのマニア向けといった枠組みだけでは収まる事はなく、老若男女問わず支持のある数少ないブランドの一つかと思います。近年では革靴の専門誌だけでなく、ファッション誌・SNSでも頻繁に取り上げられ、セレクトショップには毎年と言って良い程店頭に並んでおり、おしゃれな良い革靴=パラブーツのといったイメージが定着している様にも感じます。

パラブーツの特徴としては、ノルウィージャンウェルテッド製法と自社生産のラバーソール。多少の雨ならものともしないタフな仕様ですので、気候の変化の目立つ日本に於いて、需要が高いのは自然な事なのかもしれません。また、本格靴ブランドの中では比較的手の届きやすい価格帯ながらも、素材、デザインには独自性がある、総合的に見てもパラブーツがここまで幅広く受け入れられている事には十分納得が出来ます。

そんなパラブーツ、モデルやその素材について触れられる事は多いですが、今回はもう少し堀り下げて触れていこうと思います。

1.失敗者続出?パラブーツの”サイズ感”に注意

雑誌や各セレクトショップで異常なまでにオススメされているパラブーツですが、実は意外とサイズ選びを間違えやすいブランドです。革靴のネット通販やフリマアプリの普及もあり、実際に届いてみると思っていたより大きかったという声をよく聞きます。こちらでは、パラブーツの購入を検討する上で、予め知っておくと大きなサイズミスを防げる内容となりますので、是非一読下さい。

1-1.表記サイズよりもハーフサイズ大きい

見出しの通りですが、こちらは失敗を招く要因の一つ。パラブーツというブランド、“表記よりも全体的にハーフサイズ大きい”です。

”ブランドによってサイズが違う”、そんな言葉を耳にした方は多いかと思われますが、例に漏れていないのがパラブーツ。ドレスシューズの感覚で普段UK7を買っているから、という考えでパラブーツでも同様に7を選ぶと、ハーフサイズ程大きいという場合が殆どです。但し、表記サイズが全く当てにならないという意味ではなく、全体的に表記よりハーフサイズ大きいという印象ですので、サイズ選びの際には是非お役立て下さい。

ちなみに、パラブーツのライニング刻印にAやF、K等のローマ字を見かけますが、パラブーツにワイズ展開はありません。ご参考までに。

1-2.甲が高く、踵が大きい

クロケット&ジョーンズやチャーチといったブランドのドレスシューズに比べ、多くのパラブーツのモデルは甲回り、踵のフィッティングがリラックスフィットになっています。気軽に履きやすい靴としての魅力はあるのですが、甲の薄い方や踵の細い方はサイズ選びを正しく行った上でも緩く感じてしまう事があります。それでも”パラブーツが履きたい”という方は、ソックスを厚手のものにするだけで改善出来る場合が多い為、ちょっと緩いと感じる方は是非試してみて下さい。

2.パラブーツの”箱”から読み取れる事

こちらでは、靴とはちょっと異なる箱について内容を。

まずこちら、定番のシャンボードとそのボックスの画像です。パラブーツのシューズボックスにはどのようなモデル、色、素材、仕様となのか大枠把握出来る様になっています。こちらはモデル/シャンボード、カラー/MARRON、アウトソール/TEXソール、感覚的に分かる情報だけを読み取るとこの辺り。しかし、しっかりと読み解くとまだまだ製品の情報が隠れており、また間違った認識をしているケースが多い部分ですので、今一度確認をしておきましょう。

こちらはモデル/シャンボード、カラー/CAFE、アウトソール/TEXソール。先程は触れませんでしたが、こちら【MARRON-LIS CAFE】とあり、CAFEとは別にMARRONというカラーを示す表記があります。実はこのMARRONの部分、”アウトソールの色”を表しています。

また確認している限りでは、ソールの色のパターンとして、アッパーが茶系の物にはMARRON(茶)、黒、紺系の物にはNOIR(黒)が使用されている事が多い印象です。稀にBLANCHE(白)や、BRIQUE(赤褐色系)などのアウトソールもあるので、今まで意識して見ていなかった方は一度箱を確認してみて下さい。

さらに、もうひとつ。こちらはモデル/シャンボード、カラー/MARINE、アウトソール/アクティブソール(NOIR/黒)、バーニーズニューヨーク別注という内容です。このように別注品の場合、アウトソールのカラー表記の手前にBNY(バーニーズニューヨーク)やBF(ビームスF)等、別注を表す略称が入る事があります。

以上をまとめると、シャンボードの箱には、【モデル/アウトソール種類/(別注先)/アウトソール色/アッパーの素材と色】という情報が記載されているという事になります。

また、紹介した3つの画像には全てLISという表記がされていますが、こちらは素材を表しています。但し、このLISはパラブーツでおなじみのリスワクシーレザー(通称リスレザー)だけを表しているものではありません。LISSE、フランス語で”なめらか、なだらか、つるつる”の意味で、スムースレザーである事を示しています。実際にバーニーズニューヨーク別注のシャンボード、こちらはリスレザーではなくカーフの仕様。”LIS”はリスレザーを意味しているわけではない、という事を覚えておきましょう。

3.ブランドの特徴が際立つ“定番モデル”

100年近くの歴史を持つ老舗ブランドには、必ずと言って良い程、ロングセラーとなる定番モデルというものが存在します。今回は、リスレザー、オリジナルのラバーソール、ノルウィージャンウェルテッド製法というパラブーツを余すことなく堪能できる定番4モデルを紹介します。

■CHAMBORD/シャンボード

丸みのあるデザインと、厚みのあるTEXソールのボリューム感が特徴のUチップ。

今まで当店ではシャンボードを数多く取り扱ってきましたが、シャンボードを求めて来店される方は本当に多く、購入される方の年齢、職種、服装も様々、販売している身としても本当に幅広い層に支持を受けているモデルと感じます。パラブーツを代表する”顔”のようなモデルですので、パラブーツで何か欲しいという方は、まずシャンボードを買っておけば間違いはありません。

■MICHAEL/ミカエル

こちらも、長年パラブーツの顔として扱われているモデル。このチロリアンシューズ自体は、パラブーツ以外のブランドでも見る形ではありますが、ほとんどパラブーツ一強状態なのは、今も昔も変わりません。

ちなみに、ミカエルはサイズ表記が他モデルとは異なり、41,41.5,42…という様な記載となります。感覚としては、41(UK7程度)、41.5(UK7.5程度)、42(UK8程度)で大枠問題ありませんが、足形や着用する靴下で若干前後しやすいので、いくつかのパターンで試着をしてサイズ感を確かめておくと良いと思います。

■WILLIAM/ウィリアム

こちらは、ダブルモンクのウィリアム。一時、高級靴市場に異常なダブルモンク熱が起こり、その時は爆発的に需要が高まりました。今はそれも落ち着き、普通に定番として人気のあるモデルという印象です。

尚、このウィリアムというダブルモンクのモデル。ジョンロブにも全く同じモデル名かつ同じようにダブルモンクの名作モデル/ウィリアムの展開があります。一時、ジョンロブの製品をパラブーツがOEM生産している経緯がある事から、巷ではこの関係がウィリアムのルーツ的に取り上げられていますが、2466ラストのウィリアムや、クロケット&ジョーンズOEM期のウィリアムも存在していますので、真相がよく分かりません。パラブーツが生産していたと噂のコテージラインに関しても、確かにパラブーツが生産をしていたカジュアル風なものはありますが、全体的にはエシュン製のモデルが多い為、巷の情報がどうもふわっとしているような、、というのはまた別の機会で。

■REIMS/ランス

こちらはランスという、特殊なフォルムのローファーでありながら、支持の厚いモデル。高級靴ジャンルのローファーは、比較的ミニマルなコインローファーやタッセルローファーが主流となる中、ここまでゴツいローファーが定番的人気商品になるのはパラブーツだけ。パラブーツでないと許されないようなモデルです。

ちなみに、同仕様のものでレディースモデルになると、”ORSAY/オルセー”というモデル名になります。現行のシャンボードやミカエルはメンズ、レディース共に同じモデル名ですが、この類のように同じような見た目のモデルでもメンズ、レディースでモデル名が違う場合があります。

4.玄人も求める定番外の“名作”

先に紹介した定番モデル以外にも、様々な製品が展開されています。定番外だからこそ、ついつい語りたくなってしまうようなモデルも幾つか紹介します。

■CHAMBORD/シャンボード(ドレス)

通称ドレスシャンボードと呼ばれる、シャンボードの仕様違いモデル。通常のシャンボードと違い、ソールは厚みを抑えたアクティブソール、アッパーのタグ無し、製法はグッドイヤーウェルテッド製法へと仕様変更がされています。普通のシャンボードに比べ、すっきりとした見た目の為、ビジネスカジュアルに取り込み易くなっています。

こうして並べてみると、分かりやすいかと思います。しかし、見た目以外にも一点、通常のシャンボードとは大きな違いがあります。

アッパーがリス(ワクシー)レザーではない、という事です。実際に触ってみると分かりやすいのですが、リスレザーのオイルドレザーのような肉厚な革と比較すると、もう少し柔らかみのあるカーフ素材が用いられています。

ちなみに、値段が通常のシャンボードよりも少し高いのはご愛敬。

■MICHAEL PHOQUE/ミカエル フォック

定番ミカエルの派生形として、ファーを甲部にあしらったモデル。旧製品にはアザラシのファーが使用されており、ミカエルフォックとして展開をされていましたが、現在では素材の規制により既に廃盤となっています。

尚、このフォック、見た目にはハラコやラビットファーのような素材に見えますが、実際はそこまで柔らかくお上品な毛皮ではありません。実際の触れた感じは、結構ごわごわしていて、老猫の毛のような感覚です。良い意味で。ゴワゴワしているから良いんだよ!という素材です。

■BEAULIEU/ボーリュー

こちらは、シャンボードをそのままブーツタイプにした様なモデル。上部にはスピードフックが取り付けられており、アウトドア感が強めです。

尚、別のモデルでシャンルースという、チャッカブーツ丈のシャンボードも存在しています。共に、今となっては中々見つからないモデルとなっていますので、二次流通の市場にマイサイズが出てきた際は、是非手を出してみて下さい。

さいごに

当店のお客様は、数十年前から靴を集めている方も多くおりますので、”昔は○○のブランドはいくらで買えた”、”買った時は○○円だったのに買い直そうとしたら○○万円値上がりしていて、買うのをやめた”はもはや挨拶代わりのお決まりトーク。

高級靴ブランドの製品が、過去に比べ軒並み高騰している中、パラブーツはまだギリギリお手頃に高級靴を楽しめるブランドとして、価格面では踏ん張りをきかせています。これもいつまで続くのでしょうか。

悩んで買わずにいるうちに、気づいた時には異様に値上がりをしていた、、なんてことにならないように、パラブーツに関しては是非思い切って買ってみて下さい。商品の使い勝手しかり、手放す際に感じるブランド力しかり、、販売者、バイヤー目線ではすごく優秀かつ堅いブランドだなとは思います。


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