■高級靴のジャンルで偽物ってあるの??■
意外とネットでは見つからない、真贋を見極める本質的な考え方と、その有効な例を一つ伝授します。
「オールデンやクロケット&ジョーンズで偽物ってあるの?」これに近い質問はたまに届きます。ズバリお答えしますと、、この類のブランドは、偽物が出回る可能性が極めて低いです。
高級靴のジャンルは世間一般ではニッチな存在であるという事、これがほとんど偽物を生み出さない理由と言えます。
要するに、世間一般でニッチな存在であるこの高級靴ジャンルの偽物を作っても、そもそも需要が一般的に見て多いとは言えないので、偽物業者さんにとって大したうま味はありません。
ただ、もう少し大きいくくりで見てみましょう。ブランドの幅を広げて、ハイブランド等の靴になるとまた話が変わってきます。ハイブランドの場合は多少注意が必要と感じます。
例えば最近実際に見つけた偽物。それはトムブラウンのシューズです。トムブラウンではドレスシューズの生産は”サンダース”や”トリッカーズ”が行っており、作りとしてはグッドイヤーウェルテッド製法で作られた(今回は、製法などの細かい説明は省きます)、英国靴好きな人ならきちんとした靴だなと分かる靴です。*今後、トムブラウンもコストの関係?で製造元が徐々に変わってくるとは思います。実際にイタリア製のドレスシューズが廉価版の類?で、販売されています。
とここで、なぜ最近見つけたトムブラウンの偽物シューズが”偽物”だと思ったのか?
ポイントはいくつかありますが。サイズ表記のされ方、ブランドタグの素材、箱のデザイン、、、
(以下は本物の画像です。例としてサイズ表記を)
トリッカーズ製
サンダース製
これらはもうすでに本物を知っているから、真贋を見分けることが出来るポイントです。知っていれば分かるのですが、知らないと気づかない人も多いと思います。
大体の真贋の判別は、こういったロゴや印字のバランスとか書体の解説が多いと思いますが、それだと面白くないですし、そもそも真贋を見極める本質ではないので、このブログではちょっと違った角度から攻めていきたいと思います。
靴のプロとして、私はこれを提唱します。【*真贋を見極めるなら、まずソールを見ましょう】ちなみに、私はソールを見て一発で偽物と分かりました。
(以下は本物です。例これはトリッカーズ製の物、サンダース製はちょっと違います)
実は靴を作る資材として、ソールは比較的コストが高いです。もちろん物によりけりな事は、とりあえずは置いておきます。
靴作りをしている知り合いとの雑談で、「この靴で一番高いパーツは何?」と聞いたら、「ソールだよ笑」と笑いながら話したのを覚えています。靴によっては、アッパーよりもソールの方が高いという事も起こりうるのです。
じゃあ、コストを削減するには、安いソールを使用しそうです。安いソールとは、、安価な靴はラバーソールというイメージはないですか?オールソールをする際も、(メーカー名のない)ラバーソールの方が安いです。となると偽物の靴を作るなら、コストの高いレザーソールでなく、ラバーソールを使いそうですね。
ただ、もちろんラバーソールだから偽物だ!というのはいささか早合点。多くのブランドでダイナイトソールやビブラム社のラバーソールを使っていますし、ブランド独自のラバーソール等、私たちが知らないものが本当にたくさん存在します。コストが高いラバーソールもたくさんありますので、それらを【ラバーソールだから偽物の可能性がある】というのは完全に無理があります。ちなみにトムブラウンの靴もレザーソールのもの以外でも、ラバーソール、クレープソール等様々あります。
大切なのは偽物業者の意図を理解できるかどうか。まず偽物販売業者の気持ちになってみる事です。
前置きで、だいぶ引っ張りましたが、ここらへんで、私が、これは偽物だ!と気づいた点を→
私は【ラバーソールに薄茶の塗料で塗装されているから偽物】と分かりました。薄茶の塗料をラバーソールの上に塗って【レザーソール風】にされていたから、おかしいと気付きました。高級靴のブランドならば、レザーソール風なんていう物は使わず、レザーソールを使います。
要するに、ラバーソールの方が安く仕上がるが、コストの高いレザーソールに見せたいという考えです。
しっかりとしたファクトリーが生産する靴は、ラバーソールは潔くラバーソールです。ぱっと見に高く見せて、(似せて)という様な下心を感じる場合は疑った方が良いと感じます。
ちなみに、知り合いのリペアショップの方も、”クリスチャンルブタンの偽物持ってくる人がいる”と言っていた事を思い出しました。これもやっぱりラバーソールにルブタン風のまっ赤っかの塗料が塗られているようです。
と色々書きましたが、これが全てではありません。もしかしたら、ラバーソールに塗料を塗っている高級靴ジャンルのブランドもないとは限りません。どこもコストにはシビアな時代だと思いますので。